伝統料理と言えば、ある地方固有の個性ある料理であり、その地方で食べると、あるいは異国情緒を満足できたり、地元の味を堪能できたりする。グルメ通には見逃すことができない個性的な料理を味わう楽しさがある。地中海地方ともなれば、旅と食を享受できる贅沢なプランに旅行好きでグルメ通なら何度も行ってみたい誘惑に駆られるだろう。中でも、イタリア中を旅して、バラエティーに富んだリゾットの味較べは、パスタもさることながら、地中海地方を旅行する時の楽しみの一つでもある。
個性的、独特、あるいは伝統と言う言葉からは、インターナショナルとか融合というような包括的でオープンな言葉がどこか場違いなもののように思えるが、実は、名のある伝統料理の多くは異文化とのコミュニケーションで生まれて、腐朽の名作になったものが数多くある。むしろ、異文化とのポジティブな出会いがあって生まれたといっても過言でない。リゾットもそんな伝統料理の一品である。
もともとイタリアでは麦類を料理に用いいていた。
米はアラブ人がおそらくインドからシシリー島やスペインに伝えたと考えられている。バルカン半島に米を食べる習慣が広がり、イタリアポー川あたりには14世紀にスペインからもたらされ、気候的にも米作に最適の環境だったことから栽培は日常食となり、リゾットも米を使って具材も意趣をこらしたものが生まれて来た。麦のリゾットは米との出会いで、作り方は受け継ぎながら意趣をこらしてごちそうへと変身していった。